結論:いま分かっていること
NHKラジオ第2は、2026年3月30日午前0時05分に通常番組を終了した。同日から、ラジオ第1を改称した「NHK AM」と、従来のFM放送を改称した「NHK FM」の2波体制に移行している。
通常番組の終了後も、一部の周波数では3月31日まで移行先を案内する終了告知が流れた。停波時刻は送信所によって異なり、東京第2(693kHz)は3月31日午後11時45分のコールサインを最後に停波した。
放送設備の面で最も気になるのは、500kWの巨大送信所が今後どうなるかである。2026年8月時点で、4つの500kW局のうちアンテナと機械の撤去計画が公表されたことを確認できるのは熊本局(大津町)で、撤去には3年ほどかかるとされる。札幌・秋田・東京の3局については、具体的な撤去日程を確認できていない。
| 論点 | 現時点(2026年8月)の状況 |
|---|---|
| 通常番組 | 2026年3月30日午前0時05分に終了 |
| 終了告知と停波 | 3月30日〜31日に一部周波数で放送。停波時刻は送信所ごとに異なり、東京693kHzは3月31日午後11時45分に停波 |
| 移行先 | ラジオ第1と同じ周波数の「NHK AM」、従来のFMと同じ周波数の「NHK FM」 |
| 500kW局の撤去 | 熊本局(大津町)は約3年かけて撤去。札幌・秋田・東京は具体的な日程を確認できず |
| 周波数 | 個人集計では、ラジオ第2だけが使っていた21チャンネルが国内で未使用に。ただし、再割り当てを意味するものではない |
つまり、番組の移行は完了した一方、送信設備という「モノ」の行方は局によって異なり、全体像はまだ見えていない。以下、時系列、送信網の特徴、周波数、設備の扱いの順に整理する。
ラジオ第2はいつ・どう終わったのか
ラジオ第2の終了には、「通常番組の終了」「終了告知」「各送信所の停波」という複数の段階があった。この違いを押さえると、報道や受信記録で日付が食い違って見える理由が分かる。
- 2025年11月28日:総務省がNHKのラジオ第2放送局の廃止を認可
- 2026年3月30日 午前0時05分:通常番組と音声波再編の告知番組が終了
- 2026年3月30日〜31日:一部周波数で番組の移行先などを案内する終了告知を放送
- 2026年3月31日:ラジオ第2の各放送局を廃止。東京693kHzは午後11時45分のコールサインを最後に停波
NHKが事前に案内した「3月29日深夜に終了」は、放送日上の表現で、暦の上では3月30日午前0時05分に当たる。なお、3月31日午後11時45分という時刻は全国一律の停波時刻ではない。東京以外では、それより早く停波したとの受信記録がある。
番組の多くはNHK AM・NHK FMへ移行し、2026年度改定で終了したのは「株式市況」と「アナウンサー百年百話」だった。NHKの説明では、放送設備の維持経費で約8億円、番組制作費で約2.8億円の削減を見込む。
ラジオのネット配信での聴き方は別記事で詳しくまとめている(ラジオのネット配信の聴き方)。
なぜ500kWの大出力局が4局もあったのか
ラジオ第2は全国共通編成で、ラジオ第1のような地域ごとの番組を原則として持たなかった。そのため、少数の大出力局を核にして広い地域をカバーし、ほかの送信所や中継局で補完する送信網を構成していた。
映像情報メディア学会誌に掲載された2015年の技術解説によると、当時の全国の中波送信機数はラジオ第1が224台、ラジオ第2が140台だった。50W・100Wの送信機は第1が144台、第2が80台で、第2は小電力局が少ない。一方、50kW〜500kWの送信機は第1が5台、第2が6台で、大電力帯では第2のほうが多かった。
このほか、大阪局(羽曳野市)も300kWで送信していた。500kWは国内の中波放送で最大の出力である。中波は夜間に電離層反射で遠くまで届くため、サービスエリア外や海外でも受信された例がある。ただし、受信できる範囲は時間帯、季節、混信、受信機やアンテナによって大きく変わるため、「夜間なら国内のほぼ全域で確実に聴ける」とまではいえない。
ワイドFMや受信改善の基礎は受信ガイドで解説している(ラジオ受信改善ガイド)。
ラジオ第2廃止で使われなくなった周波数は21チャンネルとの試算
日本の中波放送帯は531〜1602kHzで、9kHz間隔に並べると120チャンネルになる。個人による周波数表の集計では、ラジオ第2廃止前に国内で使われていたのは106チャンネルで、そのうちラジオ第2だけが使っていた21チャンネルが廃止後に国内未使用になったとされる。
ここでいう21は、送信所の数ではなく、重複を除いた周波数の数である。また、「国内で使われなくなった」ことと「別の用途へ自由に再割り当てできる」ことは同じではない。中波放送の周波数は国際的な取り決めや混信条件も関係する。2026年8月時点で、この21チャンネルの具体的な再利用方針は確認できない。
なお、民放AM局の「AM局運用休止に係る特例措置」は期間を区切った休止を含む別制度である。ラジオ第2の廃止分と単純に足して「約22波が恒久的に空いた」とするのは避けたほうが正確だ。
500kW送信所は撤去されるのか

送信機、アンテナ、建屋は別々に扱われることがある。「送信機の撤去工事」が公示されても、直ちに鉄塔まで解体されるとは限らない。ここでは、4つの500kW局について、公表資料で確認できる範囲を分けて整理する。
NHK熊本放送局は、大津ラジオ放送所のアンテナや機械などを3年ほどかけて撤去すると報じた。4つの500kW局のうち、施設の撤去方針を具体的に確認できたのは熊本局である。
久喜市の資料によると、菖蒲久喜ラジオ放送所には第1用と第2用のアンテナがあり、高さはそれぞれ245mと215mだった。第2用アンテナは物理的に独立しているが、撤去や転用の日程は確認できていない。
2026年8月時点で、両局の500kWアンテナをいつ撤去するか、または残すかを示す公表資料は確認できていない。公式発表がない以上、「撤去される」「非常用に残る」のどちらも断定できない。
一方、500kW局以外に目を広げると、室蘭や宮崎などで「R2放送機撤去工事」の調達情報が公開されている。したがって、「全国で撤去が決まった設備は熊本だけ」という表現は正しくない。現時点で熊本だけといえるのは、4つの500kW局のうち、アンテナを含む施設撤去の方針を確認できた局という範囲である。
「R1化」機能は設備存続の根拠になるか
ラジオ第2用の設備からラジオ第1の周波数で送信する仕組みは「R1化」と呼ばれてきた。菖蒲久喜ラジオ放送所を紹介した2007年の技術記事にも、この機能の説明がある。また、NHKの調達情報には、2025年に「江別ラジオ第2放送所 R1化放送機補修」という契約が確認できる。
これは、少なくとも再編前に第2設備を第1系統のバックアップとして使える構成があったことを示す。ただし、ラジオ第2廃止後も設備を維持するという方針まで示すものではない。R1化機能の存在と、今後の保存・撤去計画は分けて考える必要がある。
よくある質問
- ラジオ第2はもう聴けないの?
-
「ラジオ第2」という放送サービスは終了した。多くの番組はNHK AM・NHK FMや「NHK ONE らじる★らじる」へ移行しているため、番組名から移行先を確認するとよい。
- 送信所はすべて撤去されるの?
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全国一律の撤去日程は確認できない。4つの500kW局では、熊本局がアンテナや機械を3年ほどかけて撤去するとされる一方、札幌・秋田・東京の具体的な方針は未確認である。地方局ではR2送信機の撤去工事が公示された例もある。
- 使われなくなった周波数は他の放送に回るの?
-
個人集計では、ラジオ第2だけが使っていた21チャンネルが国内未使用になったとされる。ただし、2026年8月時点で具体的な再利用方針は確認できない。国内で未使用になったことが、そのまま再割り当てを意味するわけではない。
- 500kW局とはどのくらい大きな出力なの?
-
国内の中波放送では最大の出力だった。夜間は電離層反射によってサービスエリア外や海外まで届くことがあるが、受信状況は時間帯、季節、混信、受信設備によって変わる。
まとめ
- ラジオ第2の通常番組は2026年3月30日午前0時05分に終了し、NHK AM・NHK FMの2波体制へ移行した。
- 終了告知は一部周波数で3月31日まで続いたが、停波時刻は全国一律ではない。東京693kHzは同日午後11時45分に停波した。
- 4つの500kW局のうち、アンテナと機械の撤去方針を確認できたのは熊本局で、撤去には3年ほどかかるとされる。
- 札幌・秋田・東京の500kW設備について、撤去・保存の具体的な日程は確認できない。
- 個人集計ではラジオ第2廃止で21チャンネルが国内未使用になったが、再利用方針は未確認である。
- R1化機能は再編前から存在したが、それだけで廃止後の設備存続を断定することはできない。
送信設備という「モノ」の行方は、番組編成の変化に比べて情報が少ない。今後は、NHKの調達公告、自治体の建築・解体届、各放送局の発表を分けて追う必要がある。続報が入り次第、本記事も更新する。
出典
- NHK「ラジオ放送の再編」:再編日、番組の移行先
- NHK「ラジオ放送再編のお知らせ(再放送事業者のみなさまへ)」:3月29日深夜の通常放送終了、NHK AM・NHK FMの周波数
- NHK番組表API「ラジオ放送の再編に伴うAPI提供内容の変更について」:3月30日の2波再編とラジオ第2サービスの終了
- 総務省「ラジオ第2放送を行う特定地上基幹放送局の廃止の認可」(2025年11月28日)
- 映像情報メディア学会誌「NHKのラジオ中波送信機」:送信機数と出力別構成
- 総務省「高周波利用設備の設置場所測定ガイダンス」別紙:10kW以上の中波局の所在地・周波数・出力
- 久喜市「日本の放送の要 NHK菖蒲久喜ラジオ放送所」:東京局の施設概要、アンテナ高、出力
- NHK熊本NEWSWEB「大津町『ラジオ放送所』が役目終える NHKラジオ再編に伴い」(2026年3月31日、現在は掲載終了):アンテナと機械を3年ほどかけて撤去
