この記事でわかること
- 2026年にラジオ業界で起きている変化(AM放送のFM転換、NHKの2波再編)
- AM放送・FM放送・ワイドFM・radiko・コミュニティFMの違いと種類の整理
- ラジオ電波とradikoの聴取者比率のデータ
- 受信機の選び方と目的別(防災・通勤・車・高齢者など)の聴き方
- 各テーマを深掘りした関連記事へのリンク
2026年のラジオは、災害情報を確実に得たいなら電池式のワイドFM対応受信機、外出先や聴き逃した番組を聴きたいならradiko、地域密着の情報がほしいならコミュニティFMを選ぶのが結論である。この3系統を用途で使い分ければ選択に迷わない。
民放AMラジオは47局中44局が2028年秋までにFM放送へ転換する計画を進めているが、転換後もAM波を併用する局が一定数見込まれ、全局が同時に消えるわけではない。NHKも2026年3月にラジオ第2放送を終了して2波体制へ再編した。
聴き方早見表
| 方式 | 聴取エリア | 料金 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 地上波AM放送 | 送信所周辺(局により時期が異なり、広域圏の局は継続の可能性あり) | 無料 | 対応地域では継続聴取が可能 |
| ワイドFM(FM補完放送) | AM局のFM中継エリア | 無料 | AM放送の代替、災害対策 |
| 地上波FM放送 | FM局の放送エリア | 無料 | 音楽番組、地域番組 |
| radiko(無料) | 現在地エリア | 無料 | エリア内のライブ聴取、過去7日以内のタイムフリー(24時間以内・合計3時間まで) |
| radikoプレミアム | 全国(エリアフリー加入時) | 月額385円〜(2026年8月時点、変更の可能性あり) | 出張・帰省先での聴取、タイムフリー30なら制限なし・過去30日分 |
| コミュニティFM | 市区町村単位 | 無料 | 地域情報、防災情報 |
つまり、無料の範囲だけで完結させたいなら地上波かradikoの無料機能で十分であり、エリアを超えて聴きたいときだけradikoプレミアムを検討すればよい。

ラジオとは
「ラジオ」という言葉は、AM放送・FM放送のような地上波の放送方式だけでなく、radikoやNHK ONE らじる★らじるのようなインターネット配信、Podcastのようなオンデマンド型の音声コンテンツまで含めて使われている。本記事ではこの3系統をまとめて「ラジオ」として扱う。
地上波は電波を直接受信する方式で、受信機さえあれば通信回線なしで聴ける。ネット配信は放送と同じ内容をインターネットで同時に流す「サイマル配信」が中心で、radikoやコミュニティFM各局のアプリがこれにあたる。オンデマンドは放送時間に縛られず後から選んで聴く方式で、Podcastやタイムフリー機能が代表例である。
AM放送・FM放送・radikoそれぞれの技術的な違い(変調方式や周波数、通信経路の仕組み)は仕組み解説の記事で詳しく扱っている。AM・FM・radikoの仕組み解説また、地上波ラジオがどのような系列(ネットワーク)で番組を送り出しているかは、系列の解説記事にまとめている。日本のラジオネットワーク解説
2026年のラジオで何が変わったか

民放AMラジオは47局中44局が2028年秋までにFM放送へ転換する方針を示し、NHKも2026年3月29日深夜にラジオ第2放送を終了し、3月30日から2波体制へ再編した。ここでは変化の全体像を整理する。
AM放送は送信設備の老朽化と維持費の増大という課題を抱えている。民放連によるとAM放送を行う全国の民間ラジオ事業者47社のうち44社が、2028年までにFM放送へ転換する方針を掲げている。総務省は「AM局の運用休止に係る特例措置」を設け、各局が段階的にAM送信所の運用を休止できるようにした。2026年の制度改正の詳細と対象事業者の一覧は解説記事にまとめている。2026年AM特例措置・FM改正の解説
すでに県内のAM送信所をすべて止めた放送局も出てきている。例えば南海放送は2026年2月10日、愛媛県全域でAM放送を完全に休止した。南海放送・青森放送・茨城放送・山梨放送・福井放送・四国放送などでも、2026年3月までに同様の県内全局停波が進んでいる。局ごとの最新状況は運用休止リストの記事にまとめている。AMラジオ運用休止・全停波リスト
AM放送からFM放送への転換が進むと、AM放送で使われてきた531〜1,602kHzの周波数帯の多くが空くことになる。総務省と民放連はこの帯域の具体的な転用計画を公表していない。
AM放送はいつまで聴けるのか
すべての放送局が同時にAM放送をやめるわけではない。北海道の2局と秋田県の1局は、放送エリアが広くFM波でのカバーが難しいためFM転換の対象に入っていない。残る44局は2028年秋までのFM転換を目指すと表明しており、無線局免許上の最終期限は2028年10月末である。
総務省の公式発表によれば、AM放送を休止する事業者がある一方で、全局が休止するわけではない。(参考情報:総務省資料)転換後もAM波を併用し続ける局が一定数見込まれている。
特に東京・大阪など広域圏の放送局は、平野部を1つの送信所で広くカバーできる効率の良さがある。地方に多くの中継局を抱える放送局に比べ、AM放送を継続する可能性が相対的に高いとみられる。局ごとの最新の稼働状況は運用休止リストの記事にまとめている。AMラジオ運用休止・全停波リスト
ワイドFMとは何か
ワイドFM(FM補完放送)とは、AM放送のエリア内でFM波を使いAM番組を同時に送信する仕組みである。総務省によれば、FM放送用の周波数は76.1〜98.9MHzであり、2025年5月19日に上限が95.0MHzから99.0MHzへ拡張された。90MHz以上に対応していない旧型のFMラジオでは、ワイドFMの一部局を受信できない点に注意したい。
NHKラジオ第2放送はどうなったのか
NHKは2026年3月29日深夜にラジオ第2放送を終了し、3月30日からラジオ第1・FMを「NHK AM」と「NHK FM」の2波体制に再編した。語学・教育系番組の多くはNHK FMへ移行している。
ラジオ電波とradiko、聴取者比率をデータで見る
総務省の調査(N=9,400)によると、月に1日以上ラジオを聴く「ラジオ聴取者」は全体の36.2%であり、そのうちAMリスナーが29.4%、FMリスナーが29.6%、ネットラジオ利用者は18.9%にとどまる。電波受信がなお優勢である。
総務省放送施設整備促進課が2026年3月に公表した調査は、全国の10代から70代以上9,400人を対象に、ラジオの聴取実態を媒体別に集計している。総務省資料の聴取媒体別に見ると、月1日以上AMラジオを聴く「AMリスナー」が29.4%、同様の「FMリスナー」が29.6%となっている。
インターネットラジオ(radiko・podcastなど)を月1日以上利用する「ネットリスナー」は18.9%にとどまる。一人が複数の媒体を併用するケースも多く、これらの数値には重複がある。
電波とネット、聴取機器はどう違うか
同調査では、ラジオ聴取者の聴取機器についても尋ねている。全体ではカーオーディオ・カーナビの利用が最も多く、次いでスマートフォンなどの電子端末のアプリ、据置型ラジオの順となっている。総務省資料からAMリスナーに限るとスマートフォンアプリがカーオーディオを上回り、ネット経由の聴取が広がっていることがうかがえる。
つまり、電波受信とネット配信のどちらか一方に集約されているわけではなく、車中心か外出先中心かで主な聴取機器が変わっているのが実情である。
なお、同調査ではAM放送のFM転換そのものの認知度も調べており、全体の74.6%が「知らなかった」と回答している。AM放送を日常的に聴いているAMリスナーに限っても認知度は半数程度にとどまり、転換の動きが聴取者に十分伝わっていない実態がうかがえる。
参考として、radiko単体の利用率を全年代で13.8%とする調査結果も報じられている。25年5月の株式会社RADIKOの発表によると。月間のユニークユーザー数は約 850 万人、ラジコプレミアム会員の登録者数は 100 万人と紹介されている。
ラジオの種類を整理する
ラジオは聴取方式によって、地上波・ネット配信(サイマル)・オンデマンドの3種類に大別できる。
- 地上波: AM放送、FM放送、ワイドFM(FM補完放送)、コミュニティFM
- ネット配信(サイマル): radiko(民放各局とNHKが参加)、NHK ONE らじる★らじる(NHK専用)、JCBAサイマルラジオ・Radimo・ListenRadio(コミュニティFM専用)
- オンデマンド: Podcast、radikoのタイムフリー機能、NHK ONE らじる★らじるの聴き逃し機能
つまり、民放とNHKをまとめて聴きたいならradiko、NHKの聴き逃しまで含めて聴きたいならNHK ONE らじる★らじる、地元のコミュニティFMを聴きたいならJCBA系のアプリ、と目的で使い分けるのが基本になる。Podcast中心に聴きたい場合は、配信サービスや聴き方の入門記事が参考になる。Podcast入門ガイド
radikoとNHK ONE らじる★らじるは何が違うのか
radikoは民放ラジオ局とNHKが参加する国内最大級のサイマル配信サービスで、現在地エリアの番組をリアルタイムで聴ける。NHK専用の配信サービスは2026年3月30日に「らじる★らじる」から「NHK ONE らじる★らじる」へ名称を変更したが、サービス内容自体は変わっていない。
NHK ONE らじる★らじるはNHK専用の配信サービスで、放送後1週間まで聴き逃し配信に対応している。NHKの番組を後から聴き直したい場合は、radikoではなくNHK ONE らじる★らじるを使う必要がある。
今のラジオはどう聴くのが正解か
聴き方は受信機による地上波受信、radikoによるネット配信、コミュニティFMの3系統に整理できる。どれが最適かは目的によって変わる。
災害時に強いのはどの聴き方か
停電時や通信障害時には、電池駆動の受信機によるワイドFM受信がもっとも確実である。radikoやコミュニティFMのネット配信はスマートフォンの充電と通信網に依存するため、災害直後は受信機を主、ネット配信を副とする二段構えが安全である。受信機選びの詳細は別記事で解説している。防災向けポケットラジオの選び方
外出先や聴き逃した番組はどう聴くか
radikoは無料版でもタイムフリー機能が使える。過去7日以内に放送された番組を、再生開始から24時間以内・合計3時間まで聴き直せる。radiko時間の制限をなくしたい場合はタイムフリー30プラン、エリアを超えて聴きたい場合はエリアフリープランを検討する。使い方の全体像は完全ガイド、有料プランの選び方は比較ガイドに詳しい。radiko完全ガイド、radikoプラン比較ガイド
モバイル回線で聴く場合はデータ使用量にも注意したい。キャリア別の目安は別記事にまとめている。radikoのデータ使用量とMNOでの目安タイムフリーの時間制限を超えて番組を残したい場合は、radikoではなく放送からの録音という選択肢もある。ラジオ録音の方法ガイド
地域密着の情報がほしいときはどうするか
市区町村単位で運営されるコミュニティFMは、地元の行政情報や防災情報を扱う点で全国放送にはない強みがある。日本コミュニティ放送協会(JCBA)によれば、全国の運営社数は342社である(最終確認: 2026-08-06時点、JCBA公表の直近値)。JCBA
コミュニティFMの多くはradikoに参加しておらず、JCBAサイマルラジオや専用アプリ「Radimo」、ListenRadioといった専用サービスで配信されている。聴きたい局が決まっている場合は、まずその局の公式サイトで対応サービスを確認するのが確実である。
電波が弱い場所はどうすればよいか
建物内や山間部でAM・FM放送が入りにくい場合は、アンテナの向きや設置場所の見直しで改善することが多い。具体的な改善手順は受信改善ピラー記事にまとめている。ラジオの受信改善ガイド
総務省 全国民放FM局・ワイドFM局一覧
今のラジオ受信機はどう選べばよいか
ラジオ受信機は使う場面によって適したタイプが変わる。
- 乾電池式: 停電時でも使え、防災用の基本形。ワイドFM対応かを必ず確認する。
- USB充電式・モバイルバッテリー式: 普段使いしやすく、スマートフォンと同じ電源を共用できる。
- 据置型: 音質や操作性を重視する自宅向け。文字表示が大きいモデルは扱いやすい。
- カーラジオ: 国内メーカーは2020〜2022年頃までに多くの車種でワイドFM対応を終えており、輸入車も2019年以降の生産分からおおむね対応している。総務省資料によると年式が古い車は取扱説明書や受信周波数表示で対応状況を確認したい。
- スマートフォン: 受信機を持たずradikoアプリだけで聴く方法。通信環境と充電に依存する点は電波受信と異なる。
用途別の詳しい比較は防災向け受信機の選び方の記事で扱っている。防災向けポケットラジオの選び方
目的別・ラジオの選び方
聴きたい番組から選ぶ場合は、主要番組の一覧から入るのが早い。代表的な民放・NHKの番組は主要番組ガイドにまとめている。ラジオ主要番組ガイド
- 防災を重視する場合は、電池式のワイドFM対応受信機とコミュニティFMを組み合わせる。
- 通勤・通学中心で聴く場合は、radikoの無料版で十分に足りる。
- 出張や帰省が多い場合は、radikoプレミアムのエリアフリーを検討する。
- 好きな番組を聴き逃したくない場合は、radikoのタイムフリーを使う。
- 地域の行政・防災情報を優先する場合は、コミュニティFMを選ぶ。
- 高齢者が使う場合は、操作がシンプルな据置型ラジオや文字表示の大きいモデルを選ぶ。
- 子どもと防災訓練を兼ねる場合は、乾電池式の受信機で電波の仕組みを体験させるとよい。
- 車での利用が中心の場合は、ワイドFM対応のカーオーディオかカーナビ連携のradikoを使う。
- アウトドアで使う場合は、防水性能や乾電池・ソーラー充電に対応した受信機を選ぶ。
- 入院や施設利用で音を出せない場合は、イヤホン対応の小型ラジオかradikoを使う。イヤホン選びは別記事で解説予定。
ラジオに関するよくある誤解
AM放送はもうすぐ全部聴けなくなる、という理解は正確ではない。北海道・秋田県の3局はFM転換の対象外であり、東京・大阪など広域圏の放送局もAM放送を継続する可能性が相対的に高い。全国一律の時期に終了するわけではない。
radikoに入ればAM放送の代わりになる、という考えにも注意が必要である。radikoは通信網とスマートフォンの電源に依存するため、災害直後の代替手段としては受信機の方が確実である。
コミュニティFMは民放のAM・FMより単に電波が弱いだけ、という見方も一面的である。出力は小さいものの、市区町村単位の細かい地域情報を扱える点で役割そのものが異なる。
ラジオはこれからどうなるか
今後の大きな節目は2028年秋である。無線局免許の更新時期にあわせて、民放AMラジオの多くがFM局への移行を完了させる計画になっている。ただし北海道・秋田県の3局や、AM併用を選ぶ広域圏局は、この期限を過ぎてもAM放送を残す可能性がある。
聴取スタイルの面では、総務省の最新調査でも電波受信の利用がなお高い水準にある一方、ネット配信は外出先や「聴き逃し」用途で並行して伸びている。今後は地上波かネット配信かの二択ではなく、場面で両方を使い分ける聴き方が主流になるとみられる。
コミュニティFMは防災インフラとしての役割が引き続き期待されており、JCBA系の配信サービスとの連携も進んでいる。地域放送の詳しい動向は各局の発表を確認するのが確実である。
よくある質問
Q. AM放送はいつ完全に終了しますか。
A. 全国一律の終了時期は決まっていない。北海道・秋田県の3局はFM転換の対象外であり、東京・大阪など広域圏の放送局もAM放送を継続する可能性が相対的に高いとみられる。局ごとの最新の稼働状況は運用休止リストの記事や各放送局の公式サイトで確認できる。
Q. radikoは無料でも十分に使えますか。
A. 現在地エリアのライブ聴取に加え、過去7日以内の番組のタイムフリー聴取も無料で使える。ただし無料のタイムフリーは1番組につき再生開始から24時間以内・合計3時間までの制限がある。エリアを超えて聴きたい場合はエリアフリープラン、時間制限をなくしたい場合はタイムフリー30プランを検討する。
Q. コミュニティFMはどこで聴けますか。
A. 市区町村単位で放送エリアが決まっており、地上波受信機のほか、JCBAサイマルラジオや専用アプリ「Radimo」、ListenRadioなどで聴ける局が多い。全国で342社が運営されている(JCBA調べ)。
詳しくはこちらの記事、全国コミュニティFM一覧を参照してください。
Q. ワイドFMとは何ですか。
A. AM放送の内容をFM波でも同時に送信する仕組みで、正式には「FM補完放送」と呼ぶ。ビルの陰や雑音の影響を受けにくく、AM放送のFM転換後はこの仕組みが受信の中心になる。
本記事は、映像と通信の技術者である筆者が、総務省資料および各放送局の公式発表を確認し、2026年8月時点の情報として整理した。
