「話題のアニメが放送されない」「『WBS』や『ガイアの夜明け』が見られない」
地方在住の方にとって、最大のハードルとなるのが**「テレビ東京系列(TXN)」の不在**です。
日本の地上波民放は5つの系列(日テレ、テレ朝、TBS、テレ東、フジ)がありますが、他の4系列が全国25〜28局のネットワークを持つのに対し、テレビ東京系列は全国にわずか6局しか存在しません。
本記事では、放送技術者の視点から、**「5系列すべての受信(特にテレビ東京系)」**を実現するための物理的な制約と、地域ごとの現実的な解決策を事実に基づいて解説します。
結論:テレビ東京系が映るかは「住む場所」で9割決まる
結論を申し上げます。5系列すべてを地上波(CATV含む)で視聴できるエリアは、**「TXN系列6局の放送エリア」か「その隣接県の一部」**に限られます。
それ以外の地域では、どれだけ高性能なアンテナを立てても、CATVに入っても、物理的に電波が届かないため受信不可能です。
まずは、ご自身の居住地が以下のどの「区分」に属するか、現実を直視してください。
都道府県別・民放5系列受信の現実(ファクトチェック版)
| 区分 | 状況 | 該当する主な都道府県 | 対策・現実解 |
| 【S】完全エリア | 地元にテレビ東京系列局が存在する。 | 北海道(道央中心)、関東広域(東京・神奈川・千葉・埼玉・群馬・栃木・茨城)、愛知、大阪、岡山、香川、福岡 | 対策不要。 通常のアンテナ受信で視聴可能。 |
| 【A】CATV受信エリア | 地元局はないが、隣接県のTXN電波をCATVが再送信している。 | 山梨、長野、静岡(東部・中部)、岐阜、三重、滋賀、京都、奈良、和歌山、兵庫、徳島、佐賀 | 【CATV加入】がほぼ 必須。 自前アンテナでの受信は県境付近以外は困難な場合が多い。 |
| 【B】一部受信エリア | 原則受信不可だが、県境や海沿いの一部地域のみ受信可能。 | 福島(南部)、静岡(西部)、広島(東部)、山口(西部)、大分(北部) | **【高性能アンテナ】**で隣接県を狙うか、一部CATV局を確認。 エリア内でも場所による差が激しい。 |
| 【C】物理的不可エリア | TXN局から距離が遠すぎ、CATV再送信も行われていない。 | 青森、岩手、秋田、宮城、山形、新潟、富山、石川、福井、愛媛、高知、長崎、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄 | 【地上波受信は不可能】。 BSテレ東またはTVer(ネット配信)への切り替えが必要。 |
※かつてのアナログ放送時代とは異なり、地デジ化以降、宮城や広島(中心部)、熊本などの地方中枢都市でも、テレビ東京系の区域外再送信は原則行われていません(距離と権利の問題)。
おすすめの環境・手段(選択肢の提示)
上記の区分に基づき、技術的に実行可能な3つの手段を提示します。
1. ケーブルテレビ(CATV)での区域外再送信
【対象:区分A・Bの一部地域】
ご自身の地域が「テレビ東京系の放送エリア(関東・関西・愛知・福岡・岡山香川・北海道)」に隣接している場合、CATV局が専用回線や高性能アンテナで受信し、再送信している可能性があります。
- 確認方法:地元のCATV局公式サイトにある「チャンネルラインナップ」で、テレビ東京系列局(例:テレビ東京、テレビ大阪、TVQなど)が含まれているか確認してください。
- 注意点:静岡県のように、東部(伊豆・沼津)は東京の電波を再送信しているが、西部(浜松)は愛知の電波が届かず再送信もない、というケースがあります。**「県内一律ではない」**点に注意が必要です。
2. 「BSテレ東」の活用(パラボラアンテナ)
【対象:区分C(受信不可エリア)の全域】
地上波での受信が物理的に不可能な地域における、最も画質の良い代替手段です。
BS放送(衛星放送)の「BSテレ東(旧BSジャパン)」は、テレビ東京制作の主要番組(ニュース、経済番組、一部ドラマ)を放送しています。
- メリット:日本全国どこでも受信可能。画質が安定している。
- デメリット:地上波と同時放送ではない(数日〜数ヶ月遅れ)。「ワールドビジネスサテライト(WBS)」など一部は同日放送だが時間がずれる場合がある。全てのアニメやお笑い番組が放送されるわけではない。
3. TVerでの「リアルタイム配信」と「見逃し配信」
【対象:全エリア・アンテナ設置不可の家】
物理的な電波受信(RF)を諦め、インターネット(IP)を利用します。
現在、テレビ東京はTVerでの「リアルタイム配信(ゴールデンタイム中心)」に力を入れています。
- メリット:アンテナ不要。スマホやPC、Fire TV Stick等があればテレビ画面でも見られる。
- デメリット:CMが飛ばせない。権利上の都合で配信されない番組がある(一部の古い映画やアニメなど)。データ通信量を消費する。
見落としがちな「テレビ東京系」受信のポイント
「隣の県だから映るはず」という思い込みは危険です。技術的な事実を補足します。
「スピルオーバー(電波の漏れ)」の減少
地デジ化以降、電波の指向性が鋭くなり、意図しない県外への電波漏れ(スピルオーバー)は抑制される傾向にあります。
「昔のアナログ放送の時は映っていたのに、地デジテレビに買い替えたら映らなくなった」という事例はこれが原因です。過去の経験則は通用しません。
自前アンテナでの「遠距離受信」のリスク
区分Bの地域(例:静岡県浜松市でテレビ愛知を狙う、福島県いわき市で東京タワーを狙う等)で、20素子以上のパラスタックアンテナを設置するマニアもいますが、一般家庭には推奨しません。
- 理由:気象条件(フェージング現象)により、夏場や朝夕にブロックノイズが多発し、安定視聴が保証できないからです。家族全員が快適に見る環境としては不向きです。
トラブルシューティング(確認事項)
「エリア内のはずなのに映らない」場合のチェックリストです。
- 物理チャンネル(UHF)の確認
- テレビ東京系列は、地域によって物理チャンネル番号が異なります(例:東京スカイツリーは23ch)。テレビの「受信レベル確認画面」で、対象局の物理チャンネルに信号が来ているか確認してください。
- ブースターの調整
- 県外波は県内波に比べてレベルが著しく低いことが一般的です。ブースターで増幅しても、県内波が強すぎて歪み(混信)が発生している可能性があります。プロの工事業者に「レベル差の調整」を依頼する必要があります。
まとめ
地上波民放5系列、特に「テレビ東京系」の受信については、以下の3段階で判断してください。
- 居住地がTXN系列6局のエリア内か?(Sランク)
- エリア外の場合、CATVが再送信を行っているか?(Aランク)
- ここまでは地上波で見られます。
- 上記以外の場合、地上波受信は「物理的に不可能」と割り切る。(B・Cランク)
- 「BSテレ東」と「TVer」の併用が、事実上の最適解です。
無理に高額なアンテナ工事をする前に、まずは地元のCATV局のチャンネル表を確認し、それがダメならBSアンテナの設置を検討してください。これがプロが推奨する「無駄のない手順」です。
次のアクション
今すぐTVerアプリをインストールし、「テレビ東京」のタブを開いてみてください。見たい番組が配信されていれば、高額なアンテナ工事や引越しは不要かもしれません。
